同窓会が終わって [70年代クロニクルズ]
7月7日、雨の七夕。
米軍ハウスの住人たちの36年ぶりの同窓会で東京へ。
結局シモンの連絡先は判らず、音楽家のオカモトさんも都合で来れず、
5人のメンバーでやることになった。
午後の早い時間に東京へ着いたので、新国立美術館でエルミタージュ美術館展へ行く。
マチスの「赤い部屋」を観てしまうと、約束の時間にはまだ時間があった。
歩こうか、と家内が言うので西麻布を抜けて渋谷まで歩く。
会場のスペイン料理レストランには少し早く着いた。
店が開いていなかったので、外で待っていると、
通りの向こうから金髪のKさんがやってきた。
彼女は、京都から来てくれた。
現在は書家として、レストランや料亭の筆文字ロゴを書いている。
NHKドラマの「ええにょぼ」などテレビの筆文字タイトルなんかも彼女の仕事だ。
間もなくTさんとIさんが、やってきた。
Tさんは、宇都宮で石のオブジェなどを創作している。
Iさんは、渋谷でデザイン事務所を立ち上げている。
このメンバーは個々に会うことはあったが、全員で会うのは初めてだった。
シャンパンで乾杯。
〈Kさんと家内だけ写真使用の許可が下りました〉
みんな、何を話していいか分からない。
36年ぶりだね、という言葉を何度も繰り返している。
何かきっかけがあれば記憶の糸がほぐれるのだろう、と思っていたが、
盛り上がるような昔話にはならず、みんな静かにワインを飲んでいる。
こういう感じ、どこかで見たことがあると思っていた。
「再会の時」というアメリカ映画だ。
60年代後半のアメリカのヒッピームーブメントの只中にいた仲間たちが、
友人の葬式で再会し、週末を過ごすという作品だ。
それにしても、僕と家内以外は、みんなつつましやかにしている。
熱い話をするには、もう少し時間が必要なのか、
それとも時間がたちすぎて、
振り返るべき過去なんてどうでもよくなってしまったのだろうか。
渋谷から西麻布へ流れた二次会でも、その空気は変わらなかった。
やがてシモンの話になった。
20年ほど前、シモンがTさんのいる宇都宮に会いに来たという。
長野のコミューンに行く途中で宇都宮に寄ったらしいが、
それ以来、連絡が途絶えたままであると。
シモンの話は、それ以上続かなかった。
夜更けの西麻布を5人で歩きながら、
近々、みんなで会おうという話をして僕たちは別れた。
米軍ハウスで一緒に暮らしていた岡本一生の歌を貼り付けます。
米軍ハウスの住人たちの36年ぶりの同窓会で東京へ。
結局シモンの連絡先は判らず、音楽家のオカモトさんも都合で来れず、
5人のメンバーでやることになった。
午後の早い時間に東京へ着いたので、新国立美術館でエルミタージュ美術館展へ行く。
マチスの「赤い部屋」を観てしまうと、約束の時間にはまだ時間があった。
歩こうか、と家内が言うので西麻布を抜けて渋谷まで歩く。
会場のスペイン料理レストランには少し早く着いた。
店が開いていなかったので、外で待っていると、
通りの向こうから金髪のKさんがやってきた。
彼女は、京都から来てくれた。
現在は書家として、レストランや料亭の筆文字ロゴを書いている。
NHKドラマの「ええにょぼ」などテレビの筆文字タイトルなんかも彼女の仕事だ。
間もなくTさんとIさんが、やってきた。
Tさんは、宇都宮で石のオブジェなどを創作している。
Iさんは、渋谷でデザイン事務所を立ち上げている。
このメンバーは個々に会うことはあったが、全員で会うのは初めてだった。
シャンパンで乾杯。
〈Kさんと家内だけ写真使用の許可が下りました〉
みんな、何を話していいか分からない。
36年ぶりだね、という言葉を何度も繰り返している。
何かきっかけがあれば記憶の糸がほぐれるのだろう、と思っていたが、
盛り上がるような昔話にはならず、みんな静かにワインを飲んでいる。
こういう感じ、どこかで見たことがあると思っていた。
「再会の時」というアメリカ映画だ。
60年代後半のアメリカのヒッピームーブメントの只中にいた仲間たちが、
友人の葬式で再会し、週末を過ごすという作品だ。
それにしても、僕と家内以外は、みんなつつましやかにしている。
熱い話をするには、もう少し時間が必要なのか、
それとも時間がたちすぎて、
振り返るべき過去なんてどうでもよくなってしまったのだろうか。
渋谷から西麻布へ流れた二次会でも、その空気は変わらなかった。
やがてシモンの話になった。
20年ほど前、シモンがTさんのいる宇都宮に会いに来たという。
長野のコミューンに行く途中で宇都宮に寄ったらしいが、
それ以来、連絡が途絶えたままであると。
シモンの話は、それ以上続かなかった。
夜更けの西麻布を5人で歩きながら、
近々、みんなで会おうという話をして僕たちは別れた。
米軍ハウスで一緒に暮らしていた岡本一生の歌を貼り付けます。
タグ:同窓会 岡本一生 シモン
南 佳孝さんに似た感じの曲で良い歌ですね
家内という呼び方
なんか 素敵に思えました。
by (。・_・。)2k (2012-07-13 23:47)
『再会の時』久しぶりに観たくなっちゃいました。
by DEBDYLAN (2012-07-14 01:13)
まずは訂正のみ。
岡林信彦の「アラバマ」と以前書いて気になっていました。嘘でした。
加川良でした。吉田拓郎のアルバム「元気です」に出てくる加川良。
加川良の「南行きハイウェイ」に収録されている「アラバマ」でした。そういうのを聴いて、アラバマ移住計画を立てたという衝動性の話でした。まずは、訂正でした。
by tommy88 (2012-07-14 06:06)
私は来週 前職の同窓会?的な集まりを予定しています
私の場合
人間は変化し続けるので
なかなか当時の雰囲気のままに戻らなくて
でも当時のエッセンスを探して少しでも雰囲気を
取り戻そうとする
そんなことをいつも感じます
でも素敵なオトナの集まりだったのですね。。。
奥様美人ですね~(^^)
by rtfk (2012-07-14 08:02)
なんと驚き! 岡本一生さんは今どうされているのでしょうか?
僕が大学卒業して札幌に配属になり地元のアマチュアビッグバンドで
演奏していた’82,3年ごろだと思いますが、札幌にいらした岡本さんの
バックでビッグバンドアレンジのオリジナルを何曲も演奏させて頂きました。
「コートにすみれを」 とか、タイトルがコルトレーンの曲と同じだったので
よく覚えています。京王プラザホテルでの結構メジャーな仕事だったと
思います。とてもジャジーで軽快な、曲と歌詞のオンパレードで、それまで
存じない歌い手さんでしたが、大ファンになりました。
なんだか、坪田直子さんのピーターソンの鳥といい、cafelamamaさんの
米軍ハウスには不思議な縁があるな と勝手に思っています(笑)
岡本一生さんをきっかけに、あの当時の若かりし時代の札幌の思い出に
すっかり浸ってしまいました^^
by tromboneimai (2012-07-14 08:16)
おかみさんは若いんですね。明るいお方のようで、お目にかかってもいないけどcafelamamaさんにお似合いの方です。静かな再会。若い時のままではありえないけど、少し物足りなさが残る。
by さきしなのてるりん (2012-07-14 12:16)
大人の再開
ぎこちなく、そして喋りたい気持ちでいっぱい
そんな時をお過ごしになられたのかと思います。
by 八犬伝 (2012-07-14 14:19)
奥様とても素敵な方ですね!!
少し時間が立ちすぎると話しにくくなったりしますよね、私も(*^^*)35年ぶりの同窓会で初めはぎこちなかったのですが続けて会い出すと皆うるさいぐらいに喋ります!本当は話したいことがたくさんあったのかもしれませんね…(^-^)
by リキマルコ (2012-07-14 14:53)
2kさま
岡本一生、ジャージィーな歌い方や少しハスキーなところが
佳孝さんに似ているかもしれませんね。
by cafelamama (2012-07-14 15:37)
DEBDYLANさま
「再会の時」いい映画ですよね。
20年以上前、アメリカ東海岸の小さなホテルに泊まっていたとき、
この映画の出演者たち、ウィリアム・ハート、ジェフ・ゴールドブラム、
ケヴィン・クラインと監督のローレンス・カスダンがそのホテルのレストランで食事をしているシーンを目撃したことがあります。
「再会の時」の出演者と監督の同窓会だったのかと思います。
by cafelamama (2012-07-14 15:42)
tommy88 さま
「ナタリーの朝」の記事には驚きました。
そして、同じようなファンがいることをうれしく思いました。
by cafelamama (2012-07-14 15:44)
rtfk さま
>なかなか当時の雰囲気のままに戻らなくて
でも当時のエッセンスを探して少しでも雰囲気を
取り戻そうとする
まさしく、そんな感じでした。
みんながまだ元気で、生きているうちにもういちど会いたいね、
という提案で、同窓会を持つことができました。
これから、あと何回できるかわかりませんが、
折を見て続けていこうと思います。
by cafelamama (2012-07-14 15:49)
tromboneimai さま
札幌でビッグバンドをされていたんですか。
岡本さんのコンサートはギターとピアノだけのライブを見たことがありますが、ビッグバンドでやっていたとは知りませんでした。
岡本さんの曲は、ジャージーな音楽なので、きっといいコンサートだったでしょうね。
岡本さんは今、フリーで活動しているようです。
by cafelamama (2012-07-14 15:53)
さきしなのてるりん さま
ほんとうに静かな再会でした。
連絡先不明のシモンがいれば、少し雰囲気が違っていたかもしれません。
でも、みんなと会ってよかったと思っています。
会いたい人には、どんどん会っていきたいですね。
家内は僕と同じ年齢なので、決して若くはありません。
一緒に写っているK女史も、たしか同い年。
by cafelamama (2012-07-14 16:00)
八犬伝さま
>ぎこちなく、そして喋りたい気持ちでいっぱい
まさしく、そんな感じです。
これからも、また会おうと約束したので、次回にはちがう雰囲気になるかもです。
by cafelamama (2012-07-14 16:03)
リキマルコさま
>少し時間が立ちすぎると話しにくくなったりしますよね
そうかもしれませんね。
いきなり、昔のようにはなれないですね。
みんなでまた会おうということなので、
次回はたのしい昔話ができるかもしれないと思います。
by cafelamama (2012-07-14 16:07)
雨の乃木坂・渋谷・西麻布
36年間それぞれ、思う道を歩いてきた大人たちの
しっとりと洗練した七夕の夜の再会
ちくっと胸をよぎる切なさが・・
再会のドラマをさらに渋く深く仕立てているように思いました
by はなだ雲 (2012-07-14 20:29)
おしゃれな待ち時間に、おしゃれな再会、おしゃれな沈黙だと思います。きっと丁寧に生きてきた証だと思います。どちらかというと私は、行方をくらます方で、おしゃれの側にはいませんでした。シャイだからでしょう。
「ナタリーの朝」には奇遇さを感じつつも、繊細な方だから、もしくは「純」な方だから、波長は合っているのだと思っています。ところが、cafelamama さんのニフティの記事には飛ぶことができませんでした。よろしければ、このブログの方へ、記事を再録していただけないでしょうか。読んでみたいと思っています。
実に、お写真は、奥様ですね。ぴったりです。上品でしかも、既製品ではない。オリジナルな方です。美。
by tommy88 (2012-07-14 22:40)
「ナタリーの朝」の記事を見つけました。「大人は判ってくれない ナタリーの朝」で検索をかけて見つけました。なるほど、こういう辞書を作っていたのですね。そこで見つけたのが「ギャルソン!」。これのポスターこそ、cafelamamaさんのアイコンというか名刺代わりのマークに切り取って使われているものでした。以前より、和田誠のタッチに似ているなと思っていました。
>「ナタリーの朝」というタイトルを目にすると何とも言えない甘酸っぱい気持になってしまう。
甘酸っぱいですね。私と同じ季節を生きている方だと察しもつきました。いくつかのコメントを見ていると、ちゃんと、肝心な、些細なことに、しっかりと気づくことのできる感性をお持ちの方で、それを言葉に変えることができる人だと理解できます。そういう方と知性を織り交ぜながら、ミーハーな話をして夜更かししてみたい気になります。
「辞書」のようなcafelamamaさんの映画だけのブログを、お気に入りに登録しました。時々のぞいて映画の話を聞いてみようと思います。
甘酸っぱい季節がてらに、索引で「バーバレラ」をチェックしましたが載っていませんでした。実にあほらしい映画ですが、作品の冒頭で主演のジェーン・フォンダが無重力状態で宇宙服を脱いでいくシーン、まさに「おしげもなく」という表現がぴったりのシーンですが、3本立てで見てしまい妄想族になってしまいました。要するに、もう一度見るためには5時間後ねってことです。
映画の話ってきっと思い入れだけで語れるから楽しいのでしょうね。
by tommy88 (2012-07-15 06:31)
シモンさんの安否が心残りですね。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-07-15 11:04)
tommy88さま
niftyのURLが間違っていたようです。すみませんでした。
そして、家内についても、ありがとうございます。
家内とは16歳の時から、今まで一緒に生きてきました。
「ナタリーの朝」ほんとに、奇遇です。
この映画について人と話ができたのも、数十年ぶりだと思います。
そして、僕のアイコン、おっしゃる通り「ギャルソン」のイヴ・モンタンです。
そんなに古くはない作品ですが、この映画も好きなんです。
いつか、いろいろなこと、夜更かししてお話ししてみたいですね。
「バーバレラ」は、当時はリアルタイムで観ていなかったのです。
40代になって観た作品なので思い入れが少ないせいかもしれません。
「大人は判ってくれない」をお気に入りに入れてくれてありがとうございます。
by cafelamama (2012-07-15 19:59)
月夜のうずしゅげさま
コメントありがとうございます。
シモン、ほんとにどうしているでしょうね。
でも、どこかでひょこっと会える気がします。
by cafelamama (2012-07-15 20:02)
コーヒーチャーハン!?これは聞いたことがなかったですよ!!天六の方でしょうかか?エスニックなお味??気になります(((・・;)
by リキマルコ (2012-07-15 21:02)
こうして見ると豪華キャストですね。
メグ・ティリーは当時注目してました。
「アグネス」というホラー映画がなかなかおもしろくて。
RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2012-07-16 07:48)
B級グルメ大好きの相棒さんもコーヒーチャーハンの存在は知りませんでした!!天三ですね、あの辺りにいったら探してみます(^^)
by リキマルコ (2012-07-16 16:11)
今日は。
個性のある方々の「再会」ですね。
人生私も私なりに生きなくちゃ。
by 夏炉冬扇 (2012-07-16 18:33)
はなだ雲さま
再会のドラマを勝手に期待していたのですが、
意外なほど静かに終わりました。
それぞれの胸によぎるものはあったのでしょうが、
みんな大人になったということでしょうか。
by cafelamama (2012-07-16 19:04)
末尾ルコさま
好きな俳優がたくさんでています。
ひいきはウィリアム・ハート。
このころの、ローレンス・カスダンはよかったなぁ。
by cafelamama (2012-07-16 19:14)
夏炉冬扇さま
こうして振り返ると、
友人たちがさまざまな人生を歩んでいるなぁと、実感します。
僕も含めてですが。
by cafelamama (2012-07-16 19:18)
こういう再会もあるんですね〜
大人過ぎる再会です。^^;
次の時には・・・また違うんでしょうか?
楽しみですね〜♪^^
私たちは45年ぶりの同窓会で盛り上がり過ぎ・・・
5時間もしゃべり続けてました。へへ;
by hatumi30331 (2012-07-16 21:56)
hatumi30331さま
同窓会というと、普通は小中学校などのものなんでしょうが、
ある種のコミューンのようなハウスで
一緒に暮らした仲間たちなので、
無邪気にしゃべり続けて盛り上がるというわけにはいかなかったのではないでしょうか。
by cafelamama (2012-07-16 23:19)
スイカ甘かったですか~??来年はスイカに挑戦です!!
でも昨日隣の畑でスイカがカラスにやられてました!!ネットも破られてましたよ・・・ご注意ください(^^;)
by リキマルコ (2012-07-18 21:13)
「36年ぶりの同窓会」、友、遥かな時空を超えて再会。遥かな記憶、確かな記憶のフラッシュバック、まさにかけがえのない時が流れますね。
by mwainfo (2012-07-19 17:11)
同窓会と言っても、学校の同窓会と違った雰囲気ですね。
どうして静かだったのでしょうね。
いやなら参加しないはずだからそんなことは無いでしょうに。
でも、私も当時の仲間と今会ったら、
やはり静かにお茶飲んだりしてしまうかもしれませんね。
ぼそぼそと近況語りあったりして
それで、後の思いはそれぞれが飲み込んでしまって
それぞれが来し方来し方に思いをはせながら・・・
by そらへい (2012-07-21 20:54)