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サントラ [映画]

サントラという言葉を最近聞かなくなりました。

厳密には映画に使われた音源をサウンドトラックと言うが、

当時は映画音楽なら、すべてサントラと呼んでいました。

60年代~70年代にかけて映画音楽は洋楽と並び人気の音楽ジャンルで、

映画音楽全集なるレコードがよく発売されていました。

その中には、このような曲が収められていたはずです。

エデンの東.jpg ティファニーで朝食を.jpg

シェルブールの雨傘.jpg 南太平洋.jpg

エデンの東~「エデンの東」♪レナード・ローゼンマン

ムーンリバー~「ティファニーで朝食を」♪ヘンリー・マンシーニ

トゥナイト~「ウエストサイド物語」♪レナード・バーンスタイン

魅惑の宵~「南太平洋」♪ロジャース&ハマースタイン

太陽がいっぱい~「太陽がいっぱい」♪ニーノ・ロータ

ボーン・フリー~「野生のエルザ」♪ジョン・バリー

シェルブールの雨傘~「シェルブールの雨傘」♪ミシェル・ルグラン

日曜はダメよ~「日曜はダメよ」♪マノス・ハジダキス

その男ゾルバ~「その男ゾルバ」♪ミキス・テオドラキス

鉄道員~「鉄道員」♪カルロ・ルスティケリ

男と女~「男と女」♪フランシス・レイ

映画が音を獲得して以来、映像と音楽の様々な融合が試されてきました。

初期の音楽は劇伴と言われるものが主流でした。

哀しいシーンにヴァイオリンの哀しい旋律を重ね、

楽しいシーンにピアノや管楽器などを使ったリズミカルな音楽を重ねたりと、

シーンをなぞるようなものが多かったと思います。

いわゆるベタな音付けです。

分かりやすいのですが、これでは薄っぺらい効果になってしまいます。

50年代に入り、ヒッチコック映画の作曲家バーナード・ハーマンが登場すると、

現代音楽のような不協和音が使われるようになり、映画音楽の構造も少し変わってきました。

サイコ.jpg

マイルス・デイヴィスが即興で音を付けた「死刑台のエレベーター」では、

モダン・ジャズも映画音楽として使われるようになりました。

死刑台のエレベータ.jpg

60年代半ば以降、ポップソングやロックが使われるようになり、

映像と音楽が重なった時、どのような効果が生まれるかの試みが盛んに行われました。

そして、いくつかの作品が大いなる効果を上げました。

卒業.jpg 華麗なる賭け.jpg

真夜中のカーボーイ.JPG イージーライダー.jpg

「卒業」「華麗なる賭け」「真夜中のカーボーイ」「イージーライダー」に続き、

「明日に向かって撃て」の有名な自転車のシーンが生まれたのもこの頃です。



最近の映画やテレビドラマは、劇とは無関係な主題歌やテーマ曲を持ち込む風潮があります。

やはり映画音楽は、劇付随音楽に徹し、音楽を映像に反映させてもらいたいと思う。

僕がもっとも好きな映画音楽は、「冒険者たち」のテーマ曲「航海日誌-Journal de bord」です。

作曲はフランソワ・ド・ルーベ(Francois de Roubaix)です。

「冒険者たち」は、若き日の夢の終わりを描いた作品で、

高校時代の僕は映画にも音楽にも、たちまち魅了されてしまいました。

何度観ても、何度聴いても飽きることがなく、いつも新鮮な感覚をもたらしてくれます。

「冒険者たち~航海日誌」は、ふたつの異なったパートで構成されています。



ピアノと弦の刻みによる、サスペンスフルでリズミカルなパートと

口笛とギターのアルペジオによるリリカルなパートです。

映像に合わせた劇伴として、まったく違う二つのメロディが交互に出てきます。

他に同じような構造の映画音楽を聴いたことがありません。

一筋縄ではいかないコード進行も観客の心を捉えます。

かなり実験的ですが、映画音楽としては見事な完成型を示していると思います。

フランソワ・ド・ルーベは、ニーノ・ロータやフランシス・レイ、ミシェル・ルグランとならび、

もっと評価されるべき作曲家だと思うのです。
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