リリーフピッチャー [CM]
CMディレクターというのは、皆、独特のクセがあり、わがままな部分がある人種です。
作品の良し悪しは、すべてディレクターの責任なので、
自分の思い通りにやらないと気が済まないというところがあるのも事実です。
クライアントや広告代理店の意向と自分が目指すものが違っていることはよくあることで、
なんとか折り合いをつけながら、作品の方向性を探っていくのもディレクターの仕事です。
クライアントは商品を売りたい。ディレクターは作品を作りたい。
もちろん、両方の目的が達成されることが一番望ましい。
しかし、どうにも折り合いがつかない時は、仕事を降りるということもめずらしくない。
僕のアシスタント時代、撮影現場で上司のディレクターが
クライアントと揉めて帰ってしまったことがあった。
そういうことが伝説になって名を馳せる人もいるし、
それでディレクター生命が失われる人もいる。
このことは非常にデリケートな部分があり、むずかしい問題でもある。
しかし、ディレクターが降りてしまうと必然的に誰かがその役をしなければならない。
ある作品で前任者が撮影1週間前に降りてしまい、僕に話が回ってきたことがある。
野球で言えば先発のピッチャーが試合直前に降りてしまい、
急にマウンドを託されたリリーフピッチャーのようなものだ。
準備する時間もなく、マウンドに立つわけだから当然気が進まない。
仕事に入ると、前任のディレクターが降りたのも無理はないと思えるような
状況だったりする。
マウンドに立ってしまった以上、ひらき直ってやるしかない。
ひらき直っているから、ある意味大胆にやれる。
そんな時、思いがけず突破口が開けるようなアイデアが生まれることがある。
のめり込んで夢中でやっている時より
肩の力がぬけていい作品になったりするから不思議だ。
2012-02-18 00:00
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出来るところがすごいですよ。
自分の思いをお持ちなんですね。
by 楽しく生きよう (2012-02-18 05:48)
気負わない方が
やはり 良い作品ができるんでしょうね
勉強になります(^^)
by (。・_・。)2k (2012-02-18 07:43)
期せずして、思わず、不意に、「神がおりる」という現象ですね。それはしかし必然であって、積み上げた軌跡のなせる技だと思います。いかにして、という頭ではなく、直感。直感はその人の必然。だから肩の力が抜けていなければならない。だから酸素カプセルに入る、のはやり過ぎ。
by tommy88 (2012-02-18 09:22)
個人的ではなく、多くの人がかかわって一つの作品を作り出す場合には、
イメージの折り合いに時間がかかることが多いようですね。
ちなみに、あのSTOMPのCM,覚えています! とても衝撃的でした^^
おっしゃるように、あのグループの名前は知りませんでしたが、あれは
STOMPを知らしめたCMでしたね!
雪がすぐに解けてよかったです~。
でも昨夜は、仕事が終わって帰るときに、車のフロントガラスが雪で
凍ってしまいました^^;;
by niki (2012-02-18 09:37)
何事も肩の力を抜くというのは寛容なことなのですが
これが出来るようでなかなか出来ないものですね。
特に意識するとよけい肩に力が入ってしまったりして・・・
by そらへい (2012-02-18 12:08)
突然やってきた波に乗るって開き直る方がうまく乗れますね^^
肩の力を抜くと頭ばかりが回転するのではなく、心が開いてきてグングン進める気がします。
私も今波がいっぱい来ているんですが・・・おぼれそうです~(ーー;)
by リキマルコ (2012-02-18 16:32)
極めて個人的主観でCМ全体についての意見を言わせていただくと
見て、その商品を購入したい と思えるCМが物凄く少ないでやす。
中でも「業界売上№1」というコピーの。
その業界や会社内の人にとっては重要なのだろうけど
客という立場の人間には「だから何ですか?」でやす。
さらにきついことを言わせていただくと、
観てて心地いい・楽しいなーと思えるCМは もっと少ない。
あっしがテレビを一切見なくなったのは「CМがあるから」というのも大きな理由の一つでやす。
不躾で 記事本題からズレたコメントで失礼しやした。
長年思い続けていたことを吐き出してしまいやした。
あくまで個人的な主観でやす。
不快に感じられたら削除されてくださいでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2012-02-18 20:50)
楽しく生きよう様
いつもできるというわけではないんです。
30年以上この仕事をやっていますが、
いつも手探りが続いています。
いいかげん、熟練したいのですが、
なかなかうまくはいきません。
by cafelamama (2012-02-18 22:14)
2K様
気負わないでやろうと心がけていますが、
気が付くと、視野が狭くしていることが
よくあります。
by cafelamama (2012-02-19 06:32)
tommy88 様
神が降りるは、言い過ぎです。〈笑〉
そんな神に出会っていたら、
もう少しましなものが作れていたでしょう。
by cafelamama (2012-02-19 06:37)
niki様
いろんな人がいろんな意見を持っているので
それをひとつの方向性にもっていくのは
本当にたいへんです。
時々、自分でも方向を見失うことがあります。
STOMPのCM覚えていてくれてうれしいです。
by cafelamama (2012-02-19 06:40)
そらへい様
おっしゃる通り、
肩の力を抜こうと意識するとかえってだめですね。
いつのまにか、ガチガチになっている自分に気づきます。
by cafelamama (2012-02-19 06:43)
リキマルコ様
波の高い海岸で育っているので、
子供のころから何度か溺れかけました。
大波がきたとき、怖がってじたばたすると
逆に波に巻き込まれてしまうんですね。
逆に波に向かって水中にもぐると、
おだやかに波をやり過ごすことができることを
覚えました。
by cafelamama (2012-02-19 06:50)
ぼんぼち様
>その商品を購入したいと思えるCМが物凄く少ないでやす。
このコメント痛いです。
作り手もそのことを反省しなくてはいけないですね。
商品のブランディングという広告手法のひとつで
業界売上NO1などというコピーが使われたりしますが、
印象はぼんぼち様の言うとおりです。
昔、レインコートの広告でこんなコピーがありました。
「春は、三日に一度雨が降ります。サンヨーレインコート」
修飾語を使わず、データだけすっきりとしたコピーです。
「雨の日もこれなら安心!軽快な着心地!」などと言うより
はるかにしゃれています。
たしかに、こういう広告が少なくなりました。
反省です。
by cafelamama (2012-02-19 06:59)
おはようございます。
色々な考えの方がいらっしゃいますからね。
個人的に、結局は損な役回りを受けた者や我慢をした者が
最終的にはしっかりと成功すると信じています。
まあ、破天荒で成功者もいますが、私には無理ですので(汗)
by perseus (2012-02-20 10:02)
伝説の作り方というのは、偶然の産物だったりもするのでしょうね。
それにしても、夢があるお仕事でしたね。
by 八犬伝 (2012-02-20 20:49)
非常に解りやすく、勉強させて頂きました。
すごく共感しております。^^;
by ソニックマイヅル (2012-02-20 21:49)
perseus様
集団でひとつのことをやると
いろんな考え方をする人がいて、
その中で自分らしくあろうとすることは
難しいですね。
たしかに、我慢をすることも必要な時があります。
by cafelamama (2012-02-21 20:42)
八犬伝様
テレビの中だけでも夢のあるものを
作りたいと思っていました。
by cafelamama (2012-02-21 20:43)
ソニックマイヅル様もたぶん僕と同じような
仕事をされているのだと推察します。
自分の経験で学んだことは、
不平不満を口に出してしまうと
いい方向に行かないということでした。
by cafelamama (2012-02-22 06:22)
子供の頃から花粉症ですか~?
長いお付き合いですね(-o-;)
私は今年、花粉デビューしないかドキドキです
(((・・;)
by リキマルコ (2012-02-25 16:54)
nice!&コメント有り難うございました
by りぼん (2012-02-26 14:11)
おはようございます^^
今朝は地震で目が覚めました。
大きかったですね。モノは落ちませんでしたが・・・最近また多いですね^^;;
by niki (2012-03-01 09:18)