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横浜へ [暮らし]

1月14日。朝から雨が降っていた。

雪になるかもしれないということは知っていたが、僕たちはクルマで横浜へ向かった。

家内は憂鬱そうにサングラスをかけ、ハンドルを握った。

東水戸道路から常磐道に入ると、雨が雪に変わりはじめた。

積もるような雪にはならないだろうと安易な予測をしていた。

首都高6号線に入ったところで渋滞が始まった。

やっと動いても、すぐに停まるという繰り返しが続く。

路面の雪も少しずつ凍り始めている。

自宅で作ったコーヒーをポットに入れていたが、トイレのことを考えると飲めなかった。

しばらくすると、八潮の出口が見えてきた。

高速道路で立ち往生というのは避けたかったので、そこで降りることにした。

出口へ向かう道路も渋滞していて、ゆるやかに曲がった出口付近で流れが完全に止まった。

1時間以上、クルマは動かなかった。

ワイパーに積もった雪を払うため、クルマから降りると、

雪にはまって動けなくなった4~5台の無人のクルマが道を塞いでいた。

これでは出られない。

カーラジオが、すべての首都高の入口閉鎖を伝えていた。

すると一台のクルマが動きだし、ジグザグに放置されたクルマの間を抜けていこうとしていた。

どう考えても無謀な試みに見えた。

ちょっとでも運転を誤れば、停まっているクルマにあたってしまう。

そうなれば、そのクルマがさらに道を塞いでしまう可能性もある。

しかし、そのクルマは、わずかな隙間をゆっくりと正確にすり抜けていった。

すると、それを見た後続車が次々に動きだした。

前のクルマが動き出すのを見て、家内もクルマを動かしはじめた。

家内は覚悟を決めているようだった。

ハンドルに顔を近づけ、路面の状況を確認しながらクルマを進めた。

放置してある車との間隔は30㎝ぐらいだろうか。

タイヤが、ほんの少し滑れば接触してもおかしくない。

放置されたクルマの間を、ゆっくりとすり抜けていく。

ABSによるブレーキの振動が僕たちを緊張させたが、

最後のクルマをかわして、無事に一般道に出ることができた。

一般道も渋滞だが、高速道路の上とは比べ物にならないぐらい気が楽になった。

家内の集中力はすごかった。

と同時に、自分の無力感に打ちひしがれた。

もし、僕が免許を持っていても自分があの道幅を無事に走り抜けられたかどうかは分からない。

そして、こんな状況で何もできない自分が情けなかった。

クルマはやっと都心に入ったが、横浜にたどり着くのが何時になるのか、予測はできなかった。

すでに出発から7時間以上経っていた。

道路沿いのコンビニで用を足した以外は、ずっとクルマに乗っていた。食欲もなかった。

夜の8時過ぎに雪はやんだが、横浜方面へ向かう第一京浜の下りはまだ渋滞が続いていた。

桜木町のホテルに着いたのは、夜の11時を回っていた。

朝の9時半に出発したわけだから、13時間以上のドライブになってしまった。

翌朝の伊勢佐木町の様子。

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