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財布の中身 [暮らし]

私が小学生の頃に「ただいま11人」というテレビドラマが放送されていた。

その中に出てきた、ある台詞を今でも憶えている。

「ただいま11人」1964年~1967年までTBSで放送されていた。
ただいま11人.jpg

「近頃は、お財布の中に千円札が入っていても、映画観て、お食事したらなくなっちゃうわね」

長女役の池内淳子と次女役の渡辺美佐のやりとりだったと思う。

大人は、そんなふうに千円を使うのかと、妙に納得した憶えがある。

今なら、4~5千円ぐらいだろうか。

私が外出時に持ち歩く現金は、そのドラマで交わされた台詞に倣っているフシがある。

映画を観て、食事をして、タバコを買って、コーヒーが飲めれば充分だと思っているからだ。

不意な買い物もめったにしないので、私がキャッシュカードで一度に引き出す現金は

特別な場合を除き、いつも1万円です。

最近は誰かと食事をすることもないし、映画館に行く回数も減ったし

毎日買うのはタバコぐらいなので、1万円あれば2週間ぐらいもちます。


財布の中身で思い出す話がある。

ニューオリンズでロケをしていた時、私物のフィルムカメラのリチウム電池がなくなって

近くのカメラ店に買いに行った。

オリンパス.jpg

コイン型のリチウムイオン電池は、10ドルもあれば買えるだろうと思っていた。

リチウム電池.jpg

カメラから電池を抜きだし、店員に同じものが欲しいと言うと、150ドルだと言ってきた。

聞き間違いかと思ったが、そうではなかった。

観光客だと思ってふっかけているのだろうが、150ドルはあまりにも法外な値段だ。

クレジットカードなら、5%追加とも言っている。

私の財布の中には、わずかな米ドルと数千円しか入っていない。

困り果てて財布から20ドル出して、これで売ってくれないかと頼んでみた。

その時、店員が財布の中の日本円に目を付けているのを、私は見逃さなかった。

「1000という紙幣は、ドルに換算するといくらだ?」と店員が訊いてきた。

店員は、ドル/円の為替レートを知らないようだ。

しくじらないように私は真顔で答えた。

「両替すれば約300ドルなので、150ドルの釣りをくれるなら、これで払ってもいい」

店員は仕方がないという表情を作りながら、その提案に応じようとしていた。

取引は成立した。

私は、千円でリチウムイオン電池を買い、150ドルの釣りをもらって店を出た。

早足でホテルに戻りながら「おぬしも悪よのう」と、つぶやいた。

タグ:財布の中身
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