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ネコの話 [暮らし]

今まで何匹のネコを飼っただろうか。

路地の片隅や駐車場のクルマの下で怯えた子ネコと目が合うと、つい拾ってきてしまう。

米軍ハウスで暮らしていた時、最初に飼ったのが、このネコ。

ミーコ.jpg

そのネコが5匹の子を産んだ。

ミーコの赤ちゃん.jpg

誰かに貰ってもらおうと思ったが、あてもなかった。

当時、同居人たちのひとりが原宿表参道の路上でアクセサリー売りをやっていて、

その横でネコの貰い手を探したらどうか、と言うことになった。

家内とふたりで5匹のネコをバスケットに入れ、表参道の路上に座った。

貰ってくれた人のために、キャットフードも5缶用意した。

「ネコ、もらってください」の看板も出した。

僕たちは、雑踏を行き過ぎる足音を聞きながら、ネコの貰い手を待った。

路上に座り、道行く人を眺めると世界の見え方が変わる。

それは、単にアングルが変わったというより、次元が変わったような感覚だった。

70年代風に言えば、ドロップアウト。

思ったよりも早く、ネコは次々に飼い主が見つかった。

しかし、最後の1匹だけになると、なかなか貰い手が現れなかった。

「今日、鹿児島に帰るんだけど、ネコをヒコーキにのせても大丈夫かしら?」

ブルーのパンタロンをはいた女性が、ネコを抱き上げながら僕に訊いてきた。

「バスケットもくれるなら、貰っていくわ」

その女性とのやりとりを覚えているのは、

僕の目の前に立った彼女のブルーのパンタロンが印象的だったことと、

どうやってネコをヒコーキに乗せて鹿児島に帰ったのかな、と言う疑問が

ずっと残っていたからだ。

数年後。

僕は社会人になって、スタイリストの女性と原宿の喫茶店で打ち合わせをしていた。

なぜかネコの話になり、彼女の鹿児島の実家にもネコがいるという話になった。

彼女の姉が表参道でヒッピーから貰ってきたと言う。

まさか?

「お姉さんは、いつごろそのネコ貰ってきたの?」

「その時、ネコはバスケットに入っていた?」

「もしかして、お姉さんはブルーのパンタロンを持ってる?」

僕は矢継ぎ早に質問した。

彼女はすぐに、喫茶店の公衆電話から鹿児島のお姉さんに電話して確認をとった。

すべてが一致していた。

ネコは不思議な縁を取り持つ生き物だと思う。
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